先月になりますが、夏休みに飯田線沿線をツーリングしてきましたので、
そのレポートをお届けします。
折りしも台風4号が日本海側を北上中。
静岡県の天気予報もその日は完全雨マーク。
ただ関東地方は前日まで雨など降らず、出発当日朝も住いのある藤沢では
晴れ間さえ覗いていたので、まあ大丈夫だろうとタカをくくっていたのですが…
今回のツーリングコースは、まず藤沢から東海道を下り浜松まで行き一泊、
その後天竜川に沿って北上、途中から飯田線沿いに走り、とある秘境駅を訪ね、
その後駒ヶ根にて宿泊、翌日ロープウェイにて千畳敷カールを散策という予定です。
で、ツーリング初日、もしかしたら雨など降らないかも…という淡い期待は見事に打ち砕かれ、
箱根を越えたあたりから早々に雨が降り始め、三島からはどしゃ降り、その後も風雨は勢いを増し、
まるで洗車機の中に突っ込んでいるような雨と風に見舞われることになりました。
今まで自転車やオートバイの旅で数々の雨に遭遇してきましたが、今回は最高に強烈!!
なんといっても、台風の暴風雨に対抗するように走ってましたから、専用のレインジャケットを
着ていても、襟元から水は入ってくるし、ブーツは浸水しぐしょぐしょ状態。
ただ愛車の黒ベエ君は雨の中でも絶好調で、空冷のエンジンは臨時に水冷となり冷却効果バツグン、
春先に換えたタイヤもよく路面に食いつき、暴風雨の中弾丸のように突っ込んでくれました。
浜松に着く頃は雨も上がり、とりあえず事故もなく無事に宿へ到着。
宿では、まず濡れた衣服を着替え、暴風雨の中頑張って走った黒ベエのメンテナンスを行い、
ようやく一息ついたところで夕食を食べに出掛けました。
さて浜松と言えば鰻です。
食べログで旨いお店を検索すると、「かんたろう」というお店が人気らしい。
ラッキーなことに宿からも近かったので早速お邪魔しました。
お店は少々お客さんが並んでましたが、それほど待たずに席につけました。
で、写真の鰻丼を所望。
まずお値段が安めですね。1,785円です。
肝心の鰻は、脂がしっかり乗ったものを香ばしく焼き上げてあり、
食べやすい大きさと相まって美味、瞬速で平らげてしまいました。
台風の中のライディングでさすがに疲れてましたが、しっかりスタミナ補給
できましたよ。
お店から出てオートバイに跨ると、配達から帰ってきた若い兄ちゃんが
「どうぞ気をつけて!」と声を掛けてくれました。
さりげない一言ですが、気分がイイものですネ。
さて翌日。
台風一過とはいかず曇りがちな天気でしたが、黒ベエ君と元気に出発。
今回のツーリングの主目的は、ある秘境駅訪問です。
飯田線は秘境駅の宝庫として、その筋の方々には有名なのです。
まずは、なんとなくアジアの大河チックな雰囲気漂う天竜川沿いを北上します。
以前も、この秘境国道と言われる秋葉街道(R152)を浜松から諏訪まで走りました。
秋葉街道は南アルプスのふもとを走る、めちゃくちゃディープな国道です。
機会あれば是非そのレポートもお届けしたいのですが、この天竜川に沿っている
部分だけを見れば、最高に気持ちの良いコースなのです。
天竜川の雄大な景色と、適度に飛ばせる緩やかなカーブが続く道。
走っているうちに爽快な気分になってきます。
それは向かいから来るライダーが、ピースサインを寄こしてくるほどで、
いまや北海道でも見られないような化石化したその仕草が、ここでは生きているのです。
特徴的な吊り橋も、その風景に花を添えます。
写真の橋は渡ってみましたが、幅1メートルほどで意外な高度感があります。
R152とは途中で別れ、佐久間という町に入りました。
今回ある目的のため朝から何も食べておらず、とりあえず飯田線の「中部天竜」という駅へ。
町の駅前なら何かあるだろうと思ってましたが見事に何もなく、かろうじて写真の商店が一軒のみ。
仕方なく店によると、絵に描いたようなローカルな商店にふさわしいおばあちゃんが
ヨロヨロと出てきました。
「パンはそこにあるだけね」と言われ、見ると賞味期限ギリのような菓子パンが数個。
とりあえずあんパンと100円アイス、ペットのお茶を購入。
店前で速攻パクつきました。
おばあちゃん、氷川きよしのファンなのね…
「中部天竜」という駅自体はフツーで、特に面白みもないものでした。
佐久間では放水中のダムに遭遇。
写真ではわかりづらいですが、結構な高度感で、ドドド~ッ!という爆音がスゴイ迫力。
先日の台風のため、水量がハンパでなかったです。
しばらくボ~ッと見てましたが、とある目的を思い出し慌てて再出発しました。
佐久間からは地方道に入り、さらに北上を続けます。
しかしこの道かなりディープ!
道が極端に細くなり、素堀りのようなせまいトンネルが何本も続きます。
写真のトンネルはまだマシなやつですね。
(写真撮る余裕もあったし)
とにかく暗いし、トンネル内は極端に温度が下がり、ヘルメットのバイザーが
曇ってしまい、怖いのなんのって。
昨日の台風の影響か、トンネル上部からかなりの水が噴出しており、頭から
それを被る始末。
いや~参りました。
道の脇では、このような小さな滝も。
「おおぞれ」駅の可愛いらしい屋根のホーム。
そして大失態!
今回秘境駅としてその筋の方々には有名な「小和田」駅行きを画策していたのですが、
この駅にはナンと道路が通じていないため、どうしても電車に乗る必要がありました。
(道の通じていない駅なんて、何の意味が?とお思いでしょうが、理由は後述します)
それで隣の駅がこの「おおぞれ」駅で、ここにオートバイを置いて電車で「小和田」駅に
行こうと思っていたのですが、ちょうど着いた時にその電車がホームから発車・・・
呆然とする私…
ローカル線のため、一度電車を見逃すと大変です。
この電車の時間に間に合わすために、朝飯抜いたくらいだし、今までの努力が水の泡…
佐久間ダムなんかに寄ってる場合じゃなかった…
時刻表を見ると次は約3時間後。
目眩すら感じましたが、元来楽天的で立ち直りが早いのが私の取り得。
今回下り電車に乗って行き上り電車で戻ってくる算段でしたが、このままオートバイで下り、
どこか適当な駅で上り電車に乗って一旦引き返す形で「小和田」駅へ行き、そしてまた
下り電車で帰っていく方法は?
「おおぞれ」駅の時刻表から想定すると、15時から16時にかけてうまく繋げそうです。
駒ヶ根着が遅くなりますがまあどうにかなるべと、早速実行するべく黒ベエと
出発しました。
ちょうどいいタイミングの上り電車に乗るため、適当なローカル駅に寄って時刻表を
確認していきます。
よって必然的に、飯田線秘境駅巡りとなりました(苦笑)
これは「中井侍」駅に続く道。
どんどん細くなり、ホントにこの先に駅があるのか不安になるくらいです。
周囲には人家もなく、当然人など歩いていません。
何で人もいない山奥に駅があるのか?
だって駅の存在を示す標識すらないんですよ。
不思議に思い、鉄道に造詣の深い元鉄ちゃんの先輩にメールしました。
この先輩は今でこそアマチュア登山家のようになっていますが、昔は国鉄2万キロ乗車
を果たした筋金入りの鉄道マニアでした。
すると速攻回答が…
「飯田線は元私鉄を国が買い取ったもので、昔は村や人家もありきちんと駅の機能を
果たしていたのだよ。それが過疎化やダム建設などで周囲に人家がなくなり、駅だけが
残っているのだ。」
ふうむ、なるほど。さすが先輩!
秘境駅の一つ、「中井侍」駅。
ナンと駅の真上に家が一軒だけありました。
目の前は天竜川です。
一軒だけある家に続く通路。
ホーム直結の専用駅だな、これじゃ。
天竜川を望む。
「伊那小沢」駅にて。
ここは先の「中井侍」駅よりは秘境度は低い。
でもなかなか鄙びていい感じ。
「温田」駅にて。
ここはそこそこの街?でした。
この駅でちょうど上り電車とのタイミングが合いました。
黒ベエを駐車し、電車を待つことにします。
黒ベエ、しばしの別れだ。おとなしくしてろよ。
念願?の「小和田」駅に到着!
道路は通じてないし、1日に数本しかない各駅停車しか止まらないため、
噂に違わぬ行きにくさでした。
期待していた通り、シブイ駅舎ですね~
因みにこの駅も、以前は集落が近くにあったそうですが、ダム建設とともに村は水没、
道路も沈み、今では歩いては行けない駅となりました。
周囲はホントに何もありません。
以前、皇太子ご成婚の時、小和田雅子様に因み、この駅がスポットを
浴びた時期があったそうです。
この駅で結婚式を挙げたカップルもいたそうな…
窓の外の草木がぼうぼうで、駅舎が包まれそう。
駅舎内はすごく素朴な雰囲気ですね。
素っ気無く置かれた、訪問者用ノート。
「中井侍」駅にもありましたね。
下り電車が来るまで、約20分しかありませんでした。
ホントはもう少しゆっくり、静かな雰囲気を味わいたかったのですが、
この電車に乗らないと大変なことになってしまいます(笑)
残念ながら戻るしかありません。
その後「温田」駅に戻り、ちゃんと待っていてくれた黒ベエと再会。
で、飯田市を抜け駒ヶ根市に着く頃は、すでに暗くなってました。
そしてこの日のお楽しみ!
明治亭のソースカツ丼です。もちろん大盛り!
いや~コレ、バカウマでした!まさに自分的にドンピシャの味!
これはヒレカツですが、とにかく甘辛のソースが絶妙。
量もすごいし、最近の丼モノではベストな感じ。
コレ絶対オススメですよ。
そして翌日。
残念ながら朝から雨。
ガスもすごくて、ロープウェイに乗るのはあきらめ、
潔く帰途に着きました。
まあ今回の主目的は達成されたワケで、満足感十分です。
しかしソースカツ丼は旨かったな~、また来よっと!
すごい秘境駅の旅ですね~
電車でしかいけない駅なんてびっくりです!!!
あこがれの飯田線。
いつか乗ってみたいなぁ。
それまで駅が無事存続していますように。
投稿情報: ciel | 2010/09/17 23:25
cielさん、こんにちは。
飯田線は走っている電車は普通っぽかったのですが、駅はかなり
ディープでしたね。
何せどこに駅があるのかわからない(笑)
ホントはまだいくつかの秘境駅巡りしたかったのですが、駅の場所を
示す標識などないし、人が歩くのがやっとの道を伝っていくところも
あるらしい。
要するに駅である意味がない。
だからそのような駅に電車が止まることが驚きで、おっしゃる通り
廃駅になる可能性がありますね。
まあ一部の物好きなマニア向けですな。
因みに私は違いますよ…(汗…)
投稿情報: けろぼうず | 2010/09/18 11:51
お久しぶりです。
最近なかなか投稿できずにいました。
渋いですねえ。しかも自分の家の為だけにあるような駅。
全国でもなかなか見られない光景ですね。
しかと堪能させて頂きました。
投稿情報: 双子姉 | 2010/09/20 12:32
一旦バイクに飛び乗ると様々な事に遭遇するものですね。
アクシデントもきちんとリカバリーされる能力が素晴らしい!
それにしても物凄い駅があるものですね。
こういう所にお住まいの人もスゴイですが。
電車に他の乗客は居ましたか?
投稿情報: torapoe | 2010/09/21 14:47
双子姉さん、こんばんは。
スミマセン、3日間ほどヤマにこもってまして、本日下山してきた
次第で返信が遅れてしまいました。
双子姉さんもローカル線好きですよね??
飯田線は既に経験済みではないかと思ってました(笑)
この電車の路線区内は、やたらと駅が多いんですよ。
でも走っている電車の本数は圧倒的に少ない。
だから「おおぞれ」駅から「小和田」駅まで、線路を歩いて行けるかな
と一瞬考えましたが、大人なのでヤメました(苦笑)
是非双子姉さんも行ってみて下さい!
投稿情報: けろぼうず | 2010/09/21 23:28
torapoeさん、こんばんは。
スミマセン、しばらくおヤマに行ってまして返信が遅れました。
後半2日間は大雨でしたが、何とか無事下山できました…ふう…
飯田線の電車はいたって普通の電車でした。
本数がかなり少ないためか、意外と乗っているお客さんは多かったです。
またローカル線にしては長い距離を走っていて、都市部を走る区間も
結構あるため、沿線住民の足としてきちんと機能しているようですね。
またマニアと言われる方々も結構いました。
小和田駅にもいましたよ。
ていうかこの駅に降りる人の目的はそれしかない(笑)
JRもそのあたりはよくわかっているようで、GWには秘境駅巡りの
イベント電車を走らせたりして、かなり好評だったようです(笑)
投稿情報: けろぼうず | 2010/09/21 23:39
そうなんです。
ローカル線好きです。
と言うより車もバイクも乗れないので
どうしても電車&バスになります。
飯田線実は2年前に乗りました。
なかなか渋く乗客も数える程しかいなく
しみじみと乗ってました。
観光する場所もあまりなく、新緑を楽しむ地域ですね。
投稿情報: 双子姉 | 2010/09/22 12:36
双子姉さん、こんばんは。
やはりそうでしたか…
只見線に乗ったことがあると聞いたあたりから、怪しいと
思ってました(笑)
でもローカル線っていいですよね。
自分は電車そのものより、古くて人知れず残る駅なんかに
惹かれるものがありますね。
今まで一番気に入った駅は、ブログ初期に載せた五能線の
驫木駅かな。
因みに電車より汽動車がやはりローカル線には似合いますね。
投稿情報: けろぼうず | 2010/09/22 23:29
突然申し訳ございません。
テレビ朝日でバラティ番組を制作している堀川と申します。
当番組で中井侍駅のお写真をお借りさせて頂きたいと考えております。
詳細を説明させていただきたいので、お手数ですがアカウント情報のアドレスまで
ご連絡いただけることは可能でしょうか。
借用が可能な際、お写真のデータも頂けますと幸いです。
またこちらの都合上で申し訳ございません。
借用が可能かのご連絡を本日中に頂くことは可能でしょうか。
何卒、宜しくお願い致します。
投稿情報: 堀川美由希 | 2017/07/21 11:16
堀川さん、初めまして。
すみません、このところ更新しておらず、コメントの確認が遅れました。
今更ですが、写真の貸し出しは全く構いません。
一応、貸し出し先の番組名を教えて頂ければと思います。
宜しくお願い致します。
投稿情報: けろぼうず | 2018/01/18 22:57