ちょっと前だが、広島から小学校時代以来の親友であるS君が遊びに来てくれた。
古くからの友に会うのは嬉しいものである。
(因みに俺は名古屋生まれの広島育ちで、筋金入りのカープファンである。カープ、しっかりしてくれ!)
それで、ウチの隣街にあるモロボシ・ダンのお店に二人で行こうと思っていたが、
残念ながら開店時間が遅く、その時は行くことができなかった。
それ以降何となく気になり、先日の休みの日に今度は一人で出掛けてみた。
ちょうどお昼の時間に入ったが、店内は空いており、客は子連れの親子のみ。
お店のマダムと思われる女性はいるが、モロボシ・ダンはいない・・・ と思ったら、
2階からのっそりと渋いオッサンが降りてきた。
果たしてモロボシ・ダンであった。
しかし、あのスマートで甘いマスクで優しげなダンの雰囲気はない。
見た目は渋いが、顔にその面影が感じられないのだ。
ちょっと太っているせいだろうか。
いやしかしあの頃20台半ばとしたら、今は70才くらいの年齢だ。
相応の年月が、その容貌を変えてしまったのだろう。
モロボシ・ダンはのっそりとキッチンに入っていった。
マダムが注文を聞きにきて、看板メニューの「モロボシダンのハヤシライス」を注文。
値段は735円と安い。
そしてマダムはすかさず「お飲み物は何にしますか?」
有無を言わさぬ口調に、別に飲みたくなかったが、なぜか俺は 「ア、アイスコーヒー・・」と言ってしまう。
ま、い・・いーか、ハヤシは安いし・・とムリに納得しようとしたが、なんとなく自己嫌悪・・
店内を見渡すと、ポインターの精巧な模型が鎮座し、飛んでいるセブンやウルトラホーク1号の模型、
実際に使われたようなウルトラ警備隊のヘルメットなど、マニアなら涎が出そうなお宝が数多く飾られていた。
ほどなく「モロボシダンのハヤシライス」が出てきた。
そっけない器にシンプルな盛り付けのハヤシライスである。
早速写真を撮ろうとすると・・・「すみません、写真はやめて下さい」とお店のマダムから速攻注意の声が飛んだ。
「エッ・・・あっ・・・すみません・・」
お店で食べ物撮ろうとして注意されたのは初めてだ。
よく見るとお店の壁に「店内撮影禁止」の張り紙が。
注文した品くらいいーじゃねーかと不快感を覚えつつ、まあいーか、俳優がやっている店は
いろいろうるさいのだろう・・・とまたもムリに自己を納得させようとするオレ。
肩身を小さくし、ハヤシライスを食べ始める。
「旨い・・・」 ハヤシライスは味にコクがあり、またまろやかでとても美味しかった。
速攻で食べて一息つくと、子連れの親子がマダムに「写真お願いします」とか頼んでいる。
と、モロボシダンがのっそりとキッチンから出てきて、子供と一緒にコンパクトカメラでパチリ。
子供は嬉しそうだ。今の子供でもウルトラセブンはヒーローなのだろうか?
とマダムが俺の席にやってきて、「あなたも写真いかがですか?」
「?・・・あの・・」
「1枚500円です」
一瞬オレは迷った。何といっても相手はあのモロボシ・ダン、ガキの頃の憧れだ。
これはまたとないチャンスだ・・・ いやオマエ、40過ぎのオッサンがどの面下げて
写真に写るんだ?フニャけた笑顔にピースは失笑モノだぞ・・・
約1秒の間の葛藤の後、「いえ、結構です・・」と断るオレ。
何となく微妙な気分で店を出た。
セブンの人型看板を見る。
それでもやっぱり、モロボシ・ダンは憧れに違いない。
いや、待てよ、今だったら断然アンヌかな?(笑)
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