さて、話は前回の続きである。
完全にわらじとんかつモードになっていた俺は、行き場のない食欲を
かかえることになってしまった。
このあたりは、安田屋の他にもわらじとんかつを売りにしているお店が
いくつかある。
どうやらこの地域の名物にしようとしているようだ。
仕方ない、他の店のとんかつでも食うか…と考えていると、
「オマエはニセもので食欲を紛らわすつもりだろうが、オレはだまされんぞ。
一切受け付けん!」と誇り高い(?笑)俺の胃袋が抵抗した。
迷っていた俺はそれで目覚めた。
「わかった。今日は潔くあきらめよう。絶対次にリベンジしてやる。」
その時点で、不思議なことに食欲はすっと消えてしまった。(ホント!)
「リベンジか、そういえば以前これと似たようなことがあったなぁ。
そうだ、あそこに行ってみよう!」
新たに目的地を見出した俺は、黒ベエのエンジンをかけた。
早朝から肉マン一個しか口にしていないので、さすがに体力が心配だった。
(オートバイの運転って、結構体力と集中力が要るんデスよ)
ドラッグストアに寄って、ドリンク剤とピーナッツチョコのパックを購入。
とんかつのはずが、まるで登山の携帯食になってしまった。
オレは一体何をやってるんだ?という一抹の疑問を抱きつつ、
R299を一直線に佐久方面へ向かった。
秩父から上野村までは快適な道が続いた。
途中、これも以前から行きたいと思っていた日航ジャンボ機墜落の慰霊碑まで伺った。
国道から逸れて10分ほど走ったところにあった。
そこは広々として、とても静かで落ち着いた場所だった。
慰霊塔の先は、御巣鷹尾根の墜落現場の位置を指していた。
事故が起こった時は、悲惨な状況の中、上野村の人々も総出で救出作業にあたったそうである。
興味本位で写真など撮る気になれず、静かに線香をあげさせてもらった。
さて上野村から先のR299は、様相が一変する。
ここでR299について少々触れておこう。
R299はディープな国道だ。
東京都内から長野方面へ行くのに、実は一番最短距離の国道であることは
あまり知られていない。
第一この国道を使って長野へ行くヤツなど皆無に等しい。
なぜか?
この国道は、トンデモナイ山岳道路だからである。
上の写真の通り、国道とはとても思えず、どう見ても林道である。
ワインディングを楽しむどころか、車1台がやっとの幅で急カーブが延々続き、
バイク操作に非常な緊張が強いられる。
しかも凍結路面がチョイチョイ顔を出すのだ。
これはオートバイ乗りにとっては恐怖そのものだ。
道路は山頂付近に行くに従い、さらに細くグネグネ曲がりだした。
いやらしい道だった。
(ここでR299の名誉のために書いておくと、この国道は佐久を周り八ヶ岳を抜け
茅野市まで延びており、特に八ヶ岳を抜ける山岳ルートはメルヘン街道と呼ばれ、
素晴らしいワインディングロードとなる、奥の深~い道路である)
ちょうど日も暮れて、気温が急激に下がり始めた。
あまりにも寒く、朝と同じようにカラダがガクガクと震えてしまう。
そして困ったことに、クラッチレバーを操作する左手が痛み始めた。
カーブの連続する道では、2速から4速まで忙しくギアチェンジの繰り返しだ。
気温が下がったため、手は冷たく、レバーの動きも悪くなり異常に重い。
途中何度か止まり、左手を揉む。
こんな道でも峠に展望塔があった。
十石峠、標高1350メートル。
寒さに耐え切れず、とりあえず休憩。
カロリーをとるため、ピーナッツチョコを頬張る。
駐車場には俺一人・・・
周囲はとても寂しく寒々しい。
ついでなので展望塔に登って、風景を眺めた。
はっきり言って相当な山奥である。
下手な登山よりよっぽど。
周囲は暮れなずみ、まるで深山幽谷の趣きだ。
と、オートバイの音が近づいてきて止まった。
オフロードバイクから親子が下りて、展望塔に登ってきた。
オヤジと視線が合い、思わず微笑む。
「寒ッスね。どちら行かれるんですか?」
「寒いね~。秩父。向こうから来たんですか?」
「ええ。結構疲れました。いやな道ですねぇ」
確かこんな風な会話。
他愛も無いものだったが、十分元気づけられた。
男の子は無邪気にはしゃいでいた。
オヤジとのタンデムツーリングが楽しくて仕方ない感じだ。
しかしこういう場で他のライダーに会うと、妙な連帯感に包まれ、
まるで同胞のように思えてしまうから不思議だ。
この後も何とか走り続け、暗くなってようやく佐久に到着。
この日は、最近信州ツーリングの常宿としているビジネスホテルに泊まった。
このホテルがオススメなんだけど、次の機会にご紹介シマス。
さて翌日。
ホテルに付いている朝飯を食べた後、黒ベエと軽井沢に向かった。
お目当てはMIKAGE CHAYAのコーヒー。
ここは寅次郎さんのブログを拝見させて頂き、いいなぁと思って
ちょっと前に来たんだけど、残念ながら休みだったのだ。
まあ言わばリベンジですな。
今回はバッチリ営業してマシタ!
外見からして、非常にいい雰囲気のお店ですな。
ラッキーなことに客は俺一人だった。
遠慮して隅の二人用の席に座ろうとすると、
こちらへどうぞと4人用の広い席に案内された。
店内は、木の温もりを生かした山小屋風の造りだ。
タテに長く大きな窓からいい具合に光線が差し込んで、
明るく落ち着いた雰囲気となっている。
すごく居心地がいい。
飾りつけもさりげなくてオシャレだ。
コーヒーと洋梨のタルトを所望。
コーヒーを出された時、マスターが「もし温かったら言ってください」
との気遣い。
俺は猫舌なのでむしろ温めの方がいい。
コーヒーは香り高くコクがあった。
これは好きな味だ。
洋梨のタルトも甘さが絶妙で果実感も十分。
美味しかったなぁ。
何より贅沢な時間を過ごせたように感じた。
いや~これは軽井沢まで来た甲斐があったというものだ。
その後、紅葉を見に雲場池に寄った。
ここは有名で人も多いけど軽井沢でも好きな場所で、
何より軽井沢らしい上品な雰囲気がいい。
素敵な光景に遭遇。
ここが二人の思い出の場所
なのかな。
末永くお幸せに・・・
残念ながら、雲場池の紅葉はほとんど終わっていた。
しかし晩秋の枯れたような雰囲気がまたいい感じ。
そういえば、少し前に行った碓氷湖はどうだろうか?
ここより標高低いから、もしかしたら紅葉真っ盛りでは??
ということで早速向かった・・・
さてさて時間もなくなりましたので、碓氷湖の様子は次回お届けシマス。
なかなか綺麗でしたよ~
さすが、けろぼうずさん、転んでもただでは起きない(笑)
それにしても軽井沢ですか〜。フットワーク、軽いですねー。
確かにコーヒーは実に美味しそうですが。
山岳道路、確かにこれはとても怖そうです。
ご無事で何よりでした。
あ、バイクのキーのとこ?青いクマちゃんが付いてる♪
投稿情報: torapoe | 2009/12/05 18:00
torapoeさん、こんばんは。
いや~、あの道路は正直オススメしません(笑)
あそこ抜けるのに1時間半はかかったでしょうか。
暗くなってきたし寒いし、かなりビビリながら走ってましたよ(苦笑)
あの青いベアは、YAMAHAバイクショップのオヤジがサービスで
くれたんです。
気に入ってもう1匹は買ってスペアキーにも付けてます。
ツーリングの時はいつも一緒ですね(笑)
投稿情報: けろぼうず | 2009/12/06 03:10