オバマが鎌倉に来た日

オバマが鎌倉にやってきた。

現職の合衆国大統領を生で見れるチャンスはそうないだろうと思い、
その日僕は自転車で、自宅から大仏のある鎌倉・長谷方面へ向かった。

予想はしていたが、恐ろしく警備が厳重だった。

途中かなり手前の深沢のあたりで大規模な検問があったが、
自転車なのでここは問題なくクリア。

八雲神社前の交叉点では、おびただしい数のお巡りさんが
整然と2列に縦列していた。

ものすごく異様な光景だ。
緊急出動に備えているのだろうか？
まるで銭形警部に率いられる警官隊そのものだ。

しかしここも何食わぬ顔で通り過ぎる。
何も悪いことしていないのに緊張してきた。
既に周囲はお巡りさんだらけだ。

そしてついに呼び止められた。

「あの～すみません、どちらに行かれますか？」

「オバマを見に行くんですよ！」（キッパリ）

「申し訳ありません。大仏前のトンネルから完全な通行止めです。」

とりあえず行けるところまで行きますとお断りしてから再び走り出したが、
その後数十メートル進むたびに別のお巡りさんに呼び止められること3度。

そして確かに、大仏に至るトンネルの出口で完全封鎖に遭遇。
車はおろか、ホントに人っ子一人通していない。

持参してきた一眼レフでその光景を撮ろうかと思ったが、
ただでさえ怪しげな風貌の中年オヤジなので、テロリストに間違えられても
困ると思い、携帯カメラで撮るに留めた。

う～む、どうやら生オバマを見ることは難しそうだ。
でもせっかくK7とズームレンズ持ってきたことだし、
お気に入りの寺社巡りに変更！と相成りマシタ。

駅の北側を越えて、ぐるりと鎌倉の東方面へ出た。

オバマ目当てなのか駅周辺は大した人出だったが、若宮大通りを越えると
逆に閑散としてきた。

とりあえずコンパクトで雰囲気の良い安養院へ。

安養院とは北条政子の法名だそうな。

寺の裏手にある仏像や供養塔は苔むして風情があり、
一見の価値ありデス。

そして妙法寺へ。

ここは僕の鎌倉で好きな寺社ベスト3に入るお寺さんだ。

なぜかここまで来る観光客は少なく、いつ来ても鎌倉らしい落ち着いた
雰囲気を堪能できる。

ここは全体が森に包まれているようで、灯篭の上まで
草木が茂っている。

下手な言葉で形容したくないのだけど、
何百年の時を経て存在するこの石段一つ見ても、
非常に感慨深いものがある。

上から見下ろすこの風景が好きだ。

妙法寺はちょっとした山寺で、一番上からは海が望める。

このお寺さんは、下段は落ち着いた庭園、中段は鬱蒼とした森、上段は爽やかな海と
まさに一粒で3度オイシイ素晴らしいところである。

ところでこちらは、以前春に伺った時にもご紹介してオリマス。
よろしければどうぞ。→　「苔寺」妙法寺

さて締めくくりは安国論寺の銀杏。

ラッキーなことに、ちょうどイイ感じに黄色になっていた。
いや～綺麗だな～♪

因みにここの銀杏は日当たりのいい場所にあるせいか、例年黄色になるのが早いノダ。

今回ご紹介した安養院～妙法寺～安国論寺は、それぞれ近い距離に位置しているので、
鎌倉へお越しの際は是非一緒にどうぞ。

しかしオバマ効果？で、このあたりには全く人がきておらず、思いもよらぬ
静かな寺巡りができた。

オバマは子供の頃に見た鎌倉の大仏が強く印象に残っているそうだが、
やはり鎌倉と言えば大仏が連想されるくらい、高徳院の大仏は有名だ。

ところでフト思ったのだが、僕は大仏を見た記憶がない…？
あれ、もしかして見たことがないのかな…？？
いやこんな近くに住んでいながら、そのようなことはないハズだが…
見たことがあるような無いような…イマイチ思い出せん…
しかし有名どころは避けてしまうアマノジャク的な性格の自分ならあり得る…

イカン、このままではオバマに負けてしまう…（汗）