一部の方から早くUPしろとご注文を頂き、今回は先日のホヤホヤ分を掲載デス。
(いつもは実際行った時から1ヶ月以上経ってからUPされることが多い。
それも自身がデータ整理を怠けているからでありマス・・・苦笑)
ということで甲斐駒ケ岳である。
古くから信仰の山である甲斐駒に登るのなら、参道である黒戸尾根からでないと
山に対して失礼というものである。それも往復が筋だ。
でも黒戸尾根の往復は、地図上のコースタイムを見ると往復で15時間ちょいかかる。
これは泊まりではないと無理。
ところがいろいろと調べていくうち、黒戸尾根を日帰り往復する人がいるとわかった。
多くはトレラン愛好者だが、普通の登山を趣味にしている人もいる。
自分に可能だろうか?
黒戸尾根は登山口から山頂まで、標高差2,200メートルある。
標高差、時間と、どれも今まで経験したことがないレベル。
しかしいろいろな人の登山記内容と、自身の体力と脚力を冷静に見て、日帰りは可能、
時間も往復通常ペースで12時間が妥当と判断した。
多くの人は日帰りする場合、3時台に出発している。
自身の行動時間12時間と休憩時間1時間を考慮すると、3時発なら下山は16時。
5時発で下山18時。それがリミットだろう。
復路七丈小屋の到達時間と残された体力の状況で、泊まることも選択肢に入れておく。
で、極力早めに出発するため、前回の八ヶ岳登山時と同様、前日の夜に登山口にて
車中泊することにした。
登山口となる竹宇駒ケ岳神社の前にある町営駐車場に車を止め、仮眠をとった。
時間は零時。
この駐車場には、売店と水洗のトイレまである。
しかし深夜トイレに行くと、あまりの虫の多さに閉口してしまった。
また標高も決して高くない(780メートル)ため、意外と蒸し暑い。
で、とりあえず朝3時に起きるつもりが、前日も睡眠不足だったため大寝坊し、
ガバッと起きたらすでに5時。
これはヤバイぞ!
しかも天気はどんよりと曇り、霧のような雨まで降っている。
これからの行程を考えると気が重くなった。
いっそ中止するか?(少し気弱になっている…苦笑)
しかし出発時間は遅れてしまったとしても、しっかり寝た分体力は回復した。
せっかく来たのだから、小屋泊まりでもいい。
天気は今日これから快方に向かうことはわかっている。
これは当然行くべきだろう。
ということで下り七丈小屋の到達時間にポイントを置くことにした。
ここで時間が午後3時を過ぎるようだと、日帰りは不可能と判断し泊まる
ことにした。
登山にあたり、水はたっぷりと3.5リットル持った。
今回熱中症対策として、塩分補給のための干し梅も持参している。
さて出発だ!
気合を入れる。
改めて駐車場を見渡すと、意外と空いている。
前回八ヶ岳の駐車場とは大違いだ。
やはりこの尾根から登る物好きは少ないんだろうなぁ(苦笑)
まず登山口にある駒ケ岳神社に参拝をする。
今回は言わばお参り登山である。
山頂に奥の院があるのだ。
因みにこの本堂は比較的新しい。
なんでも2002年にそれまであったものは焼失してしまったとのこと。
神社奥にある吊り橋を渡ると、登山道がスタート。
まだ陽が出ていないため、薄暗い森の中を進んでいく。
出だしから急登が続く。
ナンといってもこの黒戸尾根は、日本3大急登の一つなのだ。
でもそんなことは覚悟の上なので、黙々と登る。
しかしここで困ったことが起きた。
今回の登山で新しい山靴を実戦投入したのだが、あまりの急登続きに
体重がかかとに集中、登り始めてたった2時間で両かかとが靴擦れ
になってしまった。
メチャクチャ痛いッス!
これが痛みがあと10時間も続くと思うとブッ倒れそうだった。
この様子じゃ皮が剥けるどころか出血するな…
仕方ない、そもそもココは修験道、これも修行なのだ(泣笑)
修行の道だけあって、そこかしこに苔むした趣きのある石碑がある。
それぞれに軽くお礼をしていった。
日が上り、ようやく樹林帯に光が差し込むようになった。
太陽の力は偉大だ。
これだけで、沈みがちな心が前向きになってきた。
しかし相変わらず樹林帯の中の急登は延々と続いている。
八丁登りというらしい。
胸突き八丁・・・胸を突かれたように息が苦しいからか、胸が地面に
付くくらい急からなのか語源はわからないが・・・とにかく急ッスよ!
因みに写真は比較的平坦な場所を撮っておりマス
暑い…樹林帯の中は風もなく蒸し暑い。
汗が異常なほど流れてくる。
実は今回一番怖れているのは熱中症である。
実際自分も先日真昼間にジョギングしていて、熱中症になりかけたのだ。
熱中症対策に水と塩分を持ってきたが、エンジンと同じように身体を直接冷やすもの
が必要だ。登山の場合風が有効だが、生憎樹林帯の中は無風である。
ただ幸いなことに寝坊してしっかり寝たせいで、カラダの力自体は余裕があった。
まだバテる兆候はない。
フト脇を見ると・・・木々の切れ目から富士山が見えている!
まるで励ましてくれているようだ。
ナンと有難い風景かな。
地図上に危険マークのある刃渡りというポイントに出た。
確かにナイフエッジのように切り立ち、両サイドは切れ落ちている。
しかし鎖はしっかり付いており、普通に渡れば全く問題ナシ。
樹林帯を抜けたことが何より嬉しかった。
左手には雲上の鳳凰三山の脇に富士山が見えている。
延々と登ってきた甲斐があるというものだ。
さすが甲斐駒(・・・スミマセン)
ここからハシゴと鎖が連続し出した。
これでガシガシと標高を稼げるというものである。
刀利天狗に到着。
ここの標高が約2千メートル。
登山口から1,200メートル強登ってきたわけだ。
しかしこの登山道は歴史を感じる物が点在し、なかなか興味深く登っていて飽きない。
右にこれから向かう黒戸山があり、その脇にガスに覆われているがうっすらと甲斐駒と
思われる山が見えた。
しかしまだまだ先は長いなぁ。
登山道は黒戸山付近(標高2,250メートル)で一旦ピークに達し、そこから下り始める。
おいおいせっかく登ってきたのにやめてくれよ~という感じだが仕方がない。
そして五合目の鞍部に到着。
地図にはこのあたりに五合目小屋があるとしているが、そのような物は存在していなかった。
取り壊されたようだ。
(ザックを置いて座った木が、恐らく廃材?)
ここで小休止とし、携帯食のオニギリを補給。
五合目からの登りはさらに絶壁に近いものとなり、ハシゴ、鎖が連続する。
それとともに、おびただしいくらいに石碑が増えていく。
中にはどうやって立てたのと思うくらい、絶壁の中にあるものもあった。
なんとも綺麗なベニテングタケが、ハシゴの脇に生えていた。
このキノコは、色といい形といい一番キノコらしいキノコだと思う。
話は逸れるが、ベニテングタケの毒性はそれほど強いものではなく、
一部では幻覚を起こす合法ドラッグとして知られているらしい。
以前読んだ本に、このキノコの毒性の一つイボテン酸というアミノ酸は、
あのアジノモトのグルタミン酸の数十倍の旨みがあるとのことで、実際
食べてとても旨かったと感想を述べている人がいた。
(もっともその後酷い目にあったらしい…苦笑)
道中には石碑の他、刀や剣も多種置かれていた。
この立派な剣は昭和5年で、年代的にも参道にあるものでは新しい。
因みに神社自体の建立は270年前とのこと。
地図上にある通り、またピークを越えて標高が下がりだした。
アップダウンの連続である。
ひときしり下がると立派な木橋が現れた。
下にある古いものと架け替えてある。
この橋もそうだが、ハシゴや鎖など、肝心な部分ではどれも
しっかりしたものとなっていて、まったく不安感はなかった。
ここの登山道は道自体はきちんと手入れされており、全体的に気持ちよく
歩いていられた。
考えてみれば、これだけの自然の中、安全に登山できるということは
何てシアワセなんだろう。しかも無料なのだ。
山の整備をしてくれる方々へ、本当に感謝したい。
相変わらず甲斐駒方面はガスの中。
山頂では晴れてほしいな。
七丈小屋に到着。
思ったよりシンプルで小さい。
時間は9時半。
今回の登山のポイントとなる地点だ。
地図上のコースタイムだとここまで7時間かかる。
今回登り出しは5時半で、10時までには着きたいと思ったが
とりあえず順調に来ている。メチャ痛い靴ズレを除いては…(泣)
さて次回はいよいよ甲斐駒に登頂する「帰りはコワイ編」デス。
お楽しみに~
えっ?何でコワイのかって?
そりゃアナタ、熊鈴を車の中に忘れたからですよ(苦笑)
何でもこの登山道、最近熊出て人が襲われたらしいッス…(汗…)
コメント
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