ちょっとどころか、かなり後悔していた。
安さに釣られ、ツーリング2日目の宿は、JR小出駅前の小さなビジネスホテルに泊まった。
何たって大浴場付き、ツインのシングルユースで5,000円だ。
前泊が桧枝岐の旅館で贅沢したのだから、これはいたし方ない。
しかし部屋は暑く、空調頼んでも入れてくれず、大浴場の扇風機は故障で、賄いであった夕食を
頼んでも、予約時に言われていないからと断られた・・・
イヤ違う、こんな些細なことで後悔しているのではない、ナニカガイル・・・?
そこはかなり歴史のあるホテルらしく、明治時代のような写真がフロアの真ん中に飾ってあり、
よくわからない派手な着物が、まるで「羊たちの沈黙」のそれのように壁に広げ張られていた。
それを見た時、霊感などほとんどないはずの僕の背筋が寒くなった。
館内は暗く、電灯が蛍光灯で寒々しいせいかもしれない・・・
宿泊客は僕一人で、異常に静かなせいかもしれない・・・
気を取り直し、外へ夕食に出掛けた。
しかしJR小出駅の周りは、本当に何もないのだ。
唯一、一軒だけ、煌々と電気に照らされて闇に浮かび上がる食堂があった。
選択の余地はなかった。
暖簾をくぐると、客は誰もおらず、店のオヤジと助手のようなオッチャンがいて、
待ちかねたように注文を取りにきた。
メニューは刺身からフライもの、そばまで実にいろいろある。
よく言えば所謂駅前食堂らしいが、悪く言えば統一性がなく何がウリなのかワカラナイ。
その中で「大好評!味噌カツ丼」という張り紙が目に入った。
名古屋生まれの僕は、思わず味噌カツ丼一つ!と注文してしまった。
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